令和4年度12月例会発表資料「地域探究へのインターネット活用ー民俗・郷土研究に役立つ技術の紹介(基本編)」渡辺一弘

【目次】

1、フィールドワークに役立つツール
 Googleアカウントの取得
 現地を俯瞰する
 聞き取りした録音データを文字起こしする
 地図に現地情報を書き込む
 撮影した写真を地図に落とす
 映像を共有する

2、地図を活用する
3、文献を調べる
4、文献を活用する
5、情報を調べる
6、探究の授業にむけて
7、独学、在野研究のすすめ
8、今後の活用について
9、宮崎県での探究・調査研究の問題点

10、データをやりとりする

1、フィールドワークに役立つツール

Googleアカウントの取得

※ここではandroidを中心に説明。iphone利用者にも同様のサービス有り

○「研究につかえるGoogleのツール
 Google ドライブ(共有ファイルシステム) 
 Google ドキュメント(ワード代替)
 Google スプレッドシート(Excel代替) 
 Google スライド(パワーポイント代替)
 Google Scholar:多くの分野や情報源から学術文献・資料を幅広く検索する
 その本図書館にあります:Amazonで調べた本が図書館での所蔵を確認・予約 等

現地を俯瞰する

○Google Earth(グーグル・アース)
  GoogleEarth(グーグルアース)の基本的な操作と機能
  奈古神社から東方向に江田神社が位置する
  青島神社の背景に深い山が広がる
  Google Earth ウェブで地図やストーリーを作成する

聞き取りした録音データを文字起こしする

○文字起こしアプリ
Google レコーダー
【音声を録音する方法】Googleを使って、スマホで会話や声を録音しよう!グーグルレコーダーとキープで誰でも簡単録音!

・文字起こしアプリおすすめ12選!個人・企業向け、無料版まで

撮影した写真を地図に落とす

GPS情報(位置情報)付き写真を Google map (マイマップ)に表示する手順

例:鹿児島県薩摩川内市の田の神・石仏マップ
例:みやざき伝承アーカイブ 地図で検索する

映像を共有する(YouTubeなど)

○宮崎民俗学会ホームページにリンク集

  宮崎民俗学会 テーマ 民俗芸能 映像

  宮崎民俗学会 テーマ 神楽 映像

○YouTube=Googleアカウントで活用可能
・現在は行われなくなった民俗芸能などの記録が掲載されている。
 例:島戸神楽(宮崎民俗学会)

○みやざき伝承プラットフォームに映像アーカイブ
・一般から寄せられた映像を公開
 現在は、山口保明氏の映像=44件

2、地図を活用する

歴史家ワークショップ「スキル・ワークショップ「GISで歴史地図を描く」

<歴史家ワークショップ>

地域や時代に限定することなく歴史学の諸分野に、本会はひらかれています。関連研究会・学会との連携を深めつつ、各分野・各学会の共通課題でもあるスキルの共有・若手育成の一助となるワークショップの企画・実施

ワークショップの企画・運営をとおし、研究者のコミュニティに新たな刺激をもたらします。多様な時代・地域・分野に共通したトレーニングやイベントによって、学生・研究者が主体的に参加・活動・発信できる場を提供

「スキル・ワークショップ「GISで歴史地図を描く」→近日、映像がアップされる予定。

○国土交通省 国土地理院 

 地図・空中写真・地理調査                                       

 地図・空中写真閲覧サービス

 地理院ホーム > 地理院地図ヘルプ > 地理院地図の使い方> 誰でも役に立つ地理院地図の使い方を紹介

○地理情報システム ひなたGIS

 ・宮崎県職員が独自に作成した地理情報システム
   ~地域自治体に求められるデータを見える化するツール

 ・落合 謙次「オープンデータと ひなたGISについて」

○時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」

 埼玉大学教育学部 谷 謙二(人文地理学研究室)
 全国59地域 明治期以降の新旧の地形図を切り替えながら表示可能
 収録した旧版地形図は、4,847枚

○ハザードマップポータルサイト~身のまわりの災害リスクを調べる~

 重ねるハザードマップ~災害リスク情報などを地図に重ねて表示~
 洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、
 土地の特徴・成り立ちなどを地図や写真に自由に重ねて表示可能

Flood map

 数値を入力することで海面位置を変えることが可能
 例:縄文海進=海水準上昇約120メートル 約2万年前、海面が130メートル下がる

○カシミール3D

 平面図に標高データを加えて3D化。展望図や風景を描ける。実景をシミュレート。
 太陽や月の位置を計算。地形断面図。可視マップや可視判定。動画素材作成
 (ダウンロードが必要)

○YAMAP 

宮崎の山一覧 登山を安全に楽しむGPSアプリ
 ①電波が届かなくても、現在地がわかる。
 ②登山の記録が、簡単につくれる。
 ③記録をシェアして、楽しさが広がる。

3、文献を調べる

国会図書館

登録の種類と利用できるサービス
※すべてのサービスを受けるためには本登録が必要です

 来館利用遠隔複写記事掲載箇所調査個人向けデジタル化資料送信
本登録本人確認書類の提示必要○利用可○利用可○利用可○日本国内に居住者のみ利用可 ※利用規約への同意必要
遠隔複写当館に来館することなく、自宅や職場から「国立国会図書館オンライン」「申込書の郵送」により複写を申し込み、複写製品を郵送で受け取ることが可能
複写のための記事掲載箇所調査特定の記事や論文の掲載箇所(巻、号など)を調査するサービス。複写を希望する論文などの掲載箇所がわからず、遠隔複写サービスを申し込めない場合
個人向けデジタル化資料送信サービス当館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難なものを、利用者自身の端末等を用いてインターネット経由で閲覧できるサービス。

○国会図書館デジタルコレクション

著作権処理の済んだ資料をデータで公開

図書 雑誌 古典籍 博士論文 官報 憲政資料 日本占領関係資料 プランゲ文庫 
録音・映像関係資料 電子書籍・電子雑誌 歴史的音源 手稿譜 脚本  科学映像 地図 他
【ダウンロードできる宮崎県の民俗関連文献の例】
例:柳田国男『後狩詞記』
例:楢木範行『日向馬関田の伝承』

○次世代デジタルライブラリー

第9回 次世代デジタルライブラリーの感想――日本語版Googleブックスの試み

「次世代デジタルライブラリー」は、国立国会図書館次世代システム開発研究室での研究を基に開発した機能を実装した実験的な検索サービス。

国立国会図書館デジタルコレクションで提供している資料の中から、著作権の保護期間が満了した図書及び古典籍資料全部(約35万点)が検索可能。

例:日野巌、松本友記、小倉栄嗣などの情報収集

4、文献を活用する

OCR(光学文字認識) =画像上の文字を読み取って、電子テキスト化する機能

無料で使えるAI-OCRの機能や使い方を徹底紹介

AI OCR=AIの学習機能とOCRの読み取り技術を融合させた、新しい技術。画像データから文字情報を抽出して、デジタルデータに変換可能

「AI OCR比較14選!

○Googleドライブ

  ・「Google ドライブのOCR機能がすごい!」

5、情報を調べる

宮崎民俗学会公式ホームページ

  リンク集で民俗関連情報を集約 

みやざき伝承プラットフォーム

  写真・映像等のアーカイブ、研究者アーカイブなど

全国遺跡報告総覧

  宮崎県全域 (1634件) — PDF有 (1293件) / PDF無 (341件)

みやざき ひむか学ネット 

  教育ネットひむか。歴史民俗に関する情報も掲載。

みやざきデジタルミュージアム

  宮崎県関連の博物館データベース

ジャパンサーチ

書籍・公文書・文化財・美術・人文学・自然史・学術資産・映画など、我が国が保有する様々な分野のコンテンツのメタデータを検索・閲覧・活用できるプラットフォーム

6、探究の授業にむけて

ひなた探究

宮崎県内の「高校生」と「企業」が地域の課題を協働で探究!

学習指導要領の改訂2022年4月~高等学校探究学習(総合的な探究の時間)必修化

探究学習=生徒が自ら課題発見や調べ学習をする→情報源が限られる

 →教員が年間の授業設計から運営まで実施するには非常に負担

 →ICT教材を使用

 →探究学習を生徒・教員両方の面でサポート

 →企業から探究学習に欠かせない社会の「活きた課題」を学校に提供

「若年層の流出」→慢性的な人材不足や生産性の低下、地域全体の所得水準や消費力低下など様々な問題→授業で使用するICT教材を通じて、県内企業の事業内容や取り組み、地域の魅力を早い段階で知ってもらい、若者が地元で仕事・生活していくモデルケースを示す

7、独学、在野研究のすすめ

○小林昌樹調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス

 皓星社、2022年。国会図書館の調べ物のノウハウを大公開!
 「在野研究」「独学」にも応用できるハンドブック

○読書猿独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法

 ダイヤモンド社、2020年。

 読むのが遅い。時間がない。続かない。頭が悪い。お金がない。やる気が出ない。

 何を、どう学べばいいか迷ったときの羅針盤。「自分を変えたい」すべての人へ。

○荒木 優太在野研究ビギナーズ 勝手にはじめる研究生活

 明石書店、2019年。
 卒業後も退職後も、いつだって学問はできる!
 最強の学者くずれたちによる現役のノウハウが、ここに結集。

8、今後の活用について

○3Dスキャン

 ・wider(android)

 ・初心者向け】iPhone 3Dスキャンパーフェクトガイド

  ※2020年10月、iPnone12ProシリーズにLiDARセンサーが搭載

 ・例:神戸深江生活文化史料館

ひかり拓本データベース

 風化した碑文を復元、判読可能な画像でアーカイブする事を目的とするプロジェクト
 ・ひかり拓本プロジェクト

○博物館データベース

 「I.B.MUSEUM SaaS」(早稲田システム) 3万円(月額・税別)
   音声ガイド「ポケット学芸員」 ジャパンサーチ連動(令和3年4月19日予定)

9、宮崎県での探究・調査研究の問題点

•以前と情報に対する考え方が大きく変化している

 「著作権保護のため公開は最小限」→「公的な収集資料は基本的に公開」

•宮崎県内の図書館・博物館所蔵資料の少なさ

 →地方にいながらインターネットを通して得られる情報が格段に増加

•県外の図書館・博物館等への調査の困難さ

 →データベースの公開が進み、事前調査でかなり調査がスムーズ。

 →事前調査、現地調査が必要最小限

・学校教育の場で、地域の文化を探究する授業で、利用しやすいサイトが少ない
 →ビジネスの面では準備が進んでいる
・宮崎県では特定の関係者だけが調査研究。一般が参加するハードルが高い

 →情報を消費するだけでなく、自ら探究することの楽しみを伝える

<以下、追記>

10、データをやりとりする

調査研究をする上で、先方とデータのやりとりをする必要が出て来ます。以前であればCDを郵送するなどで対応していましたが、現在は基本的にメールで、また、転送サービスを利用します。

メールではデータサイズによっては受け付けない場合があり、その場合、あるいは予想される場合は、転送サービスを利用します。

以下に転送サービスを紹介します

○GigaFile(ギガファイル)便

いますぐ利用できるユーザー登録不要の簡単無料大容量のファイル転送サービス。容量無制限(1ファイル300Gまで)のファイル転送が行えます。ファイルはアップロード後最大100日間保持。